あみ&たた バタバタ米国日記

医者夫婦で、夫たたは研究留学、妻あみは慣れない主婦業。いろんなことが起こる米国生活をつづります。

医者が米国で妊婦になった【6】妊娠初期の採血は日米でちょっと違う&結果はwebで (゜o゜;

検査結果がwebで閲覧できる!

 私のかかっている病院ではカルテの一部がwebで見られるサービスがあって、

採血結果・エコーのレポート・健診の記録などが自宅から読めるようになっています。

 

 妊娠初期健診で大量の採血をされた結果が、翌日から続々とwebにアップ。

幸い、結果はすべてあるべき姿となっていて、ホッとしました。

はじめてスピッツ7本分も採血されたよ(;・∀・)

 

血型・血算の部分のスクショ↓

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 しかし、医者が見るのと同じ生データが解説なしでそのままポンと載ってるだけなので、読み慣れてない方にはつらいかも。。

 おそらく、4週後の次回健診まで放置できない異常があれば病院から電話がかかってくるのだと思います。また、急ぎでない質問なら同じサイトからメールできるので、それもあわせて活用されているのでしょう。おもしろい仕組みだと思いました。

 

ところ変われば検査変わる 

 さて、妊娠初期の採血で調べる項目は国によって、あるいは病院によって多少違うようです。

厚労省の出している「標準的な妊婦検診の例」はこんな感じです↓

(妊婦さん向けパンフレットのPDF)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken13/dl/02.pdf

 

妊娠初期の検査の日米の違いを簡単にまとめると、

1)日米で妊娠初期の採血の内容は大きく変わらない

2)日本では調べるHTLV-1検査が、米国ではふつう調べない → 追加検査がオススメ

3)日本では調べない嚢胞性線維症の検査が、米国ではふつう → 省略してもいいかも

 

これ以上の詳しいことを知りたい方は、下記へどうぞ(*´ω`*)

なるべく咀嚼して書いたつもりですが、専門用語が多めなのをどうかご容赦ください。

 

日本では検査するけど、米国ではしないもの

 九州・沖縄に多い、成人T細胞型白血病のウイルス(HTLV-1)というのがあります。このウイルスに感染していても、たいていの人はなんの症状もなく一生を終えるのですが、ときに白血病になったり脊髄の病気になったりします。

 

 母乳を通じて赤ちゃんに感染するので母乳のあげかたを変えたほうがいいと言われていて、日本では出身地を問わず全妊婦さんに検査されています。

 

 米国では知名度が低いらしく、初回に担当してくれた先生は「なーにそれ?」という感じでした。米国で妊婦健診を受ける日本人妊婦さんは、自分から検査をお願いする必要がありそうです。

 

 抗体検査(antibody)、より詳細な検査(Western blot)がありますが、まずは抗体検査→陽性なら詳細検査、と進むのが一般的です。抗体検査はHTLV-1 antibody、あるいはhuman T-cell lymphoma virus antibodyで通じるかと思います。

 

 このウイルスに関するより詳しい解説は、厚労省研究班のページが分かりやすくてオススメです↓

www.htlv1joho.org

 

さらにつっこんだ情報がほしい方は厚労省のページへ。やや読みにくいですが↓

www.mhlw.go.jp

厚労省の医師向けPDFはこちら↓

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken16/dl/04.pdf

 

 

米国では検査するけど、日本ではしないもの

 白人に多い遺伝病に「嚢胞性線維症cystic fibrosis」というのがあります。

肺、膵臓などがじわじわやられて、治療が進歩した今でも半数の方が40代前半までに亡くなるのですが、日本人では150万人に1人と、とても珍しい病気です。

 

 両親ともに保因者(無症状だけど病気の遺伝子を持っている状態)の場合のみ、25%の確率で子どもが病気になる、という遺伝パターンなので、日本人同士の子どもであれば、検査しなくていいのではと思います。この検査を受けるかどうか聞かれたので、日本人では無視しうる頻度だから省略したい旨を伝えて、検査項目から削除してもらいました。

 

 日本人×白人の場合、あるいはどちらかの親族に嚢胞性線維症の患者がいる場合は、遺伝相談なり検査を受けるなりしたほうがいいかもしれません。

 

 ただし、アメリカ産婦人科学会(ACOG)は人種に関係なく、全妊婦にこの検査をすることを推奨しています。

同学会のガイドラインそのものは会員限定で閲覧できなかったので、民間の医療保険会社がまとめたPDFへのリンクを貼っておきます↓

http://www.uhccommunityplan.com/content/dam/communityplan/healthcareprofessionals/clinicalguidelines/ACOG_Perinatal_Care_Guideline_Summary_7th_Edition.pdf

 

 なお、この病気は胎児診断はできても根本的な治療はないので、病気と知りつつ産むか、妊娠を終了させるかというとてもむずかしい問題も出てきます。そして、米国では州によって妊娠中絶が合法だったり違法だったりするので、さらにややこしくなります。検査を受ける前に遺伝相談をしたほうがよいかもしれません。

 

厚労省の一般の方向け解説ページ↓

難病情報センター | 膵嚢胞線維症

患者団体のページ(英語)↓

Cystic Fibrosis Foundation - Home

米国産婦人科学会の妊婦向けFAQ(英語)↓

Cystic Fibrosis - Prenatal Screening and Diagnosis - ACOG

 

 まだまだ妊婦になった実感がわかない時期なのに、検査するかしないか、異常が出たら産むのか産まないのか、などと過酷な決断をせまられるのでとてもしんどいですが、こういうのを積み重ねて人の親になる覚悟ができていく、のかも。。

 

 妊娠出産はめでたいことばかりじゃない、そんな言葉が身にしみました。