医者が米国で妊婦になった【5】 絨毛膜下血腫…ってナンダッケの巻
病院からの電話 ≒ 悪い知らせ
エコーで子宮内に胎児心拍が確認できて喜んでいた翌日、病院から電話がかかってきました。
先生がわざわざ「おめでとう」コールしてくれた…わけじゃないだろうから、おそらく昨日のエコーで何らかのトラブルが見つかったか。当方、のんきに買い物中でしたが、一気に青ざめました。
「けっこう大きな絨毛膜下血腫があったから、次回のエコーを早めたほうがいいと思う、放射線部に連絡しておくから2週間後くらいに予約をとってね」とのこと。
えーと、絨毛膜下血腫ってナンダッケ。昨日のエコーで、見慣れない黒い三日月がうつってた気がするけど、それのことかしら。
医学用語はラテン語とギリシャ語をベースに、接頭辞や接尾辞がくっついてできている単語が多いので、初耳でもだいたい意味が分かります。が、単語の意味が分かるのとそれを理解しているのとはまた別。あたま真っ白です。
こちらが医者なのは診察当日にバレていたので「絨毛膜下血腫、って言われてだいたい分かる?」と聞いてくれた先生。恥ずかしながら、「えーと、絨毛膜下血腫って何でしたっけ?」と聞くと、丁寧に解説してくれました。
絨毛膜下血腫の科学
あとで調べてわかったこともまとめて書くと、要点は
・なぜできるか・・・胎盤ができる過程で、子宮内膜(母側)と絨毛膜(赤ちゃん側)の間に血がたまることがあるから
・どのくらい危ないのか・・・血腫が大きい場合や外出血が多い場合は流産につながることもある(血腫がない人に比べると、流産するおそれが高まる)。
が、そのうち勝手に吸収されて普通に妊娠が継続できることも多いらしい。*1
・治療法はあるのか・・・外出血している場合は安静にするといいかも(が、安静にしなきゃダメとも言いきれない)*2
といった感じで、これまた歯切れの悪い話です。
「○○な人は××になるリスクが高まる」話のキレの悪さ(;・∀・)
医学全般においてそうなのですが、「○○な人は××になるリスクが高まる」というのは○○な人をたくさん集めてはじめて分かることで、○○な張本人にしてみたら、××になるかならないかの2択。
たとえば、「タバコを吸う人は肺がんになりやすい」のですが、
・タバコを吸うけど 肺がんにならない人 (ハイリスクだったのに幸運)
・タバコを吸って 肺がんになった人 (ハイリスクで不運)
・タバコを吸わないのに 肺がんになった人 (ローリスクだったのに不運)
・タバコを吸わずに 肺がんにならなかった人 (ローリスクかつ幸運)
の4パターンがあって、それぞれ本人たちにとっては「肺がんになった」「ならなかった」の結果が最も大事なわけです。
いくらハイリスクでも、自分の身に実際おこらなければなかったも同然です。
しかも、「タバコ吸うけど肺がんじゃない」「タバコ吸わないのに肺がんになった」人も身の回りにたくさんいるので、なおさら「タバコ→ 肺がん」が実感しにくい。
これが、タバコを吸う人がなかなか減らない理由のひとつだよなーと感じます。
「タバコを吸う人=全員肺がんになる、吸わない人=肺がんにならない」のなら、さすがにみんなやめると思います。
同様に、「○○な妊婦は流産しやすい」の○○に該当する項目は絨毛膜下血腫以外にもいくつもあるのですが、一対一対応しないのでいろんな俗説も飛びかって、なかなか難しいですね。。
ひたすら待つしかない数週間
私の場合、絨毛膜下血腫の存在や年齢をいろいろ加味すると、多めに見積もって流産率は2−3割、7−8割はちゃんと産まれるだろうと計算して、良い方に賭けてのんびり過ごすことにしました。カリカリしても何も改善しないですし。
とはいえ、自分としては何の自覚症状もなく、腹痛も外出血もない中そんな宣告をされたので、腹の中のベビーが元気なのか、無事に産まれてくれるのか、まったく分からない不安はけっこう大きかったです。
よっぽど引きつった顔をしていたのか、レジ前でダンナがゴディバのチョコバーを買ってなぐさめてくれました(;・∀・) これでベビーがどうなるわけでもないけど、気持ちがありがたかったです。
ということで、次のエコーまで2週間、お祈りしつつ待つことになったのでした。