あみ&たた バタバタ米国日記

医者夫婦で、夫たたは研究留学、妻あみは慣れない主婦業。いろんなことが起こる米国生活をつづります。

医者が米国で妊婦になった【5】 絨毛膜下血腫…ってナンダッケの巻

病院からの電話 ≒ 悪い知らせ

 エコーで子宮内に胎児心拍が確認できて喜んでいた翌日、病院から電話がかかってきました。

 

 先生がわざわざ「おめでとう」コールしてくれた…わけじゃないだろうから、おそらく昨日のエコーで何らかのトラブルが見つかったか。当方、のんきに買い物中でしたが、一気に青ざめました。

 

「けっこう大きな絨毛膜下血腫があったから、次回のエコーを早めたほうがいいと思う、放射線部に連絡しておくから2週間後くらいに予約をとってね」とのこと。

 

 えーと、絨毛膜下血腫ってナンダッケ。昨日のエコーで、見慣れない黒い三日月がうつってた気がするけど、それのことかしら。

 

 医学用語はラテン語とギリシャ語をベースに、接頭辞や接尾辞がくっついてできている単語が多いので、初耳でもだいたい意味が分かります。が、単語の意味が分かるのとそれを理解しているのとはまた別。あたま真っ白です。

 

 こちらが医者なのは診察当日にバレていたので「絨毛膜下血腫、って言われてだいたい分かる?」と聞いてくれた先生。恥ずかしながら、「えーと、絨毛膜下血腫って何でしたっけ?」と聞くと、丁寧に解説してくれました。

 

絨毛膜下血腫の科学

 あとで調べてわかったこともまとめて書くと、要点は

 

・なぜできるか・・・胎盤ができる過程で、子宮内膜(母側)と絨毛膜(赤ちゃん側)の間に血がたまることがあるから

 

・どのくらい危ないのか・・・血腫が大きい場合や外出血が多い場合は流産につながることもある(血腫がない人に比べると、流産するおそれが高まる)。

が、そのうち勝手に吸収されて普通に妊娠が継続できることも多いらしい。*1

 

・治療法はあるのか・・・外出血している場合は安静にするといいかも(が、安静にしなきゃダメとも言いきれない)*2

 

といった感じで、これまた歯切れの悪い話です。

 

「○○な人は××になるリスクが高まる」話のキレの悪さ(;・∀・)

 医学全般においてそうなのですが、「○○な人は××になるリスクが高まる」というのは○○な人をたくさん集めてはじめて分かることで、○○な張本人にしてみたら、××になるかならないかの2択。

 

 たとえば、「タバコを吸う人は肺がんになりやすい」のですが、

・タバコを吸うけど   肺がんにならない人  (ハイリスクだったのに幸運)

・タバコを吸って    肺がんになった人   (ハイリスクで不運)

・タバコを吸わないのに 肺がんになった人   (ローリスクだったのに不運)

・タバコを吸わずに   肺がんにならなかった人 (ローリスクかつ幸運)

の4パターンがあって、それぞれ本人たちにとっては「肺がんになった」「ならなかった」の結果が最も大事なわけです。

 

 いくらハイリスクでも、自分の身に実際おこらなければなかったも同然です。

しかも、「タバコ吸うけど肺がんじゃない」「タバコ吸わないのに肺がんになった」人も身の回りにたくさんいるので、なおさら「タバコ→ 肺がん」が実感しにくい。

 

 これが、タバコを吸う人がなかなか減らない理由のひとつだよなーと感じます。

「タバコを吸う人=全員肺がんになる、吸わない人=肺がんにならない」のなら、さすがにみんなやめると思います。

 

 同様に、「○○な妊婦は流産しやすい」の○○に該当する項目は絨毛膜下血腫以外にもいくつもあるのですが、一対一対応しないのでいろんな俗説も飛びかって、なかなか難しいですね。。

 

ひたすら待つしかない数週間

 私の場合、絨毛膜下血腫の存在や年齢をいろいろ加味すると、多めに見積もって流産率は2−3割、7−8割はちゃんと産まれるだろうと計算して、良い方に賭けてのんびり過ごすことにしました。カリカリしても何も改善しないですし。

 

 とはいえ、自分としては何の自覚症状もなく、腹痛も外出血もない中そんな宣告をされたので、腹の中のベビーが元気なのか、無事に産まれてくれるのか、まったく分からない不安はけっこう大きかったです。

 

 よっぽど引きつった顔をしていたのか、レジ前でダンナがゴディバのチョコバーを買ってなぐさめてくれました(;・∀・) これでベビーがどうなるわけでもないけど、気持ちがありがたかったです。

 

 ということで、次のエコーまで2週間、お祈りしつつ待つことになったのでした。

イースターで巨大ハムを食すの巻

イースターと過ぎ越しの祭

 街中にウサギと卵があふれてるなーと思ったら、今週末はイースターのようです。

復活祭 - Wikipedia

ユダヤ教の過ぎ越しの祭(Passover)も今週末のようで、スーパーの入り口は左手にkosher food(ユダヤ教の戒律に従った食材)、右手に巨大ハムの棚、とにぎやかでした。

過越 - Wikipedia

 

 我が家はキリスト教徒でもユダヤ教徒でもないのですが、せっかく異文化圏にいるのだから食べものだけでもそれっぽいものを食べてみよう、ということで合意しました。

 

過ぎ越しの祭の象徴的なパン「マッツァー」

 知り合いのユダヤ教徒のおばあちゃんたちに聞いてみたところ、過ぎ越しの祭を象徴する食べものは発酵させないパン「マッツァー(matzo, matzah)」だそうです。

 

 旧約聖書の出エジプト記のくだりが起源で、あわててエジプトを出ていくときにパンを発酵させる時間がなかったとのこと。作りかたについて細かな規定もあります→ 

マッツァー - Wikipedia

 

 でも、「段ボール食べてるみたいな感じね」「便秘するか下痢するか、今年はどっちかな」「あれ食べたあとは胃腸薬が手放せないのよ」とみなさんケチョンケチョンに言うので、異教徒がわざわざ食べることもあるまいと思い、「ミニ過ぎ越しの祭」は開催しないことにしました(;・∀・)

 

イースターは動物性食品と絵付き卵

 一方、キリスト教では、イースターに動物性食品が解禁になるのと、卵が死と復活の象徴だという理由で、このふたつが主なごちそうになるようです。

 

 理由はわかりませんでしたが、動物性食品の中でも大きなハムを食べる家庭が多いそう。

f:id:amiko81:20150406062159j:plain(写真はWikipediaより拝借)

スーパーにはこんなハム↑がゴロゴロ売られていましたが、

2人世帯で消費するのはちょっと厳しいので、代わりにこんなのを買いました↓

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豚のふとももをズバンと切ったと思われます。大腿骨も入ってます(;・∀・)

あんまり大きかったので、比較にバナナを乗せてみました。

厚みも堂々の1.5cmで、ずっしり重たいです。

 

サンドイッチにはさんだり、お中元でいただいたりするものとは格が違うぜ!と全身で主張している感じ。ザ・ごちそう。

 

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フライパンに入れても、存在感ありまくり。ギッチギチです。

隣で売られていたパイナップルや、冷蔵庫の残り野菜もいっしょに炒めようと思ったけど断念して、別々で火を通すことにしました。

 

で、じゃーん。

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 大皿からはみでそうな勢いです。

切り分けつつ、ふたりでおいしくいただきました。

 

イースターエッグ的なものは、4月のドア飾りにしました↓

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日本人、オリガミに悪戦苦闘するの巻: キングギドラを折ったよ!

美術館でオリガミ本に出会う

 米国でふつうに通じる日本語にはいろいろありますが、オリガミもそのひとつ。
本屋さんに行くと、和柄やポップ柄の折り紙が付録でついてくる折り紙ハウツー本が何冊も見つかります。

 

 ロシアやフランスでもオリガミの本を見たことがあるので、日本人が思っている以上に世界中で普及しているのかもしれません。

 

 先日、美術館で狩野派の屏風絵展を見たあとにミュージアムショップに寄ってみたら、ズラッと並んだジャパニーズギフトの中にこれを見つけました↓

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ドラゴンと想像上の生きもののオリガミ、とでも訳すのでしょうか。

 

目次を見てみると、↓

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見たことないのがいっぱい載ってる!

ペガサスやユニコーンもあります。

子どもの頃にお世話になった、オーソドックスな折り紙本にはなかった作品です。

 

折り方を見てみると、紙を2枚使ったり、ハサミを入れたりするわけではなく、ごくごく正統派な作りかたでできるようです。気になったのでお買い上げ、19.95ダラー也。

 

作ってみるか→ 悪戦苦闘(;・∀・)

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平均的な日本人程度には折り紙できる = 米国人換算でオリガミ偏差値65くらい?

と勝手に判断し、難易度★★★のコレにチャレンジしてみることに。

 

ゴジラシリーズにこんなの出てきたよねぇ、そうそう、キングギドラだ!

テンションが上がります。

 

こんな事もあろうかと日本から持ってきた折り紙をゴソゴソ出してw、

山折り、谷折り、ふむふむ、と折っていくと、

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全38ステップ中の11ステップ目にして、いきなり激ムズ!

補助線が多すぎて何がなんだかワカリマセン。

このステップで30分以上 停滞。

 

ダンナも召喚して、あーでもないこーでもないといじったところ、ある瞬間にちゃんと”collapse”しました。ふぅ。

 

その後もあちこちのステップでつまずいて放りだしたくなりつつも、日本人として意地を張り、全2時間をかけて、できました!!!

 

じゃーん!!

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紙がポップ系なので何やら可愛い雰囲気なのですが、

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こうすると迫力が・・・ないか、やっぱりどことなくかわいい系ですね。

 

普通の日本サイズの折り紙ではだいぶしんどかったので、次は大判の紙でトライしようと思います。

 

ダンナが隣で「次回予告! 難易度★★★★の”羽のあるユニコーン”あらわる、って書いて〜〜」と言ってますが、★★★でこれだけ難しかったんだけどなぁ、ムチャ言うよね(;・∀・)

ミニ記事: 米国でとんがりコーンが食べたくなったらコレ!

 ときどき無性に食べたくなる、とんがりコーン。あのガリガリした食感、いいですよね〜

米国では見つからないのであきらめていたところ、ひょんなことから代替品を見つけました。

 じゃーん。

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 ヨーグルト用のクラッカーをいくつか買ってみたところ、ナビスコの”Triscuit” オリジナル味がとんがりコーンそのものな食感でした。

(写真は別フレーバーです。オリジナル味の写真を撮りわすれまして…(;・∀・))

原材料は、小麦粉、植物油、海塩、以上! といさぎよい構成で、どこにもコーンは入っていませんが、食感と香ばしさがとんがりコーン。

 

ちなみに、なぜTriscuitという名前なのか公式サイトでは探せず。我が家では「biscuitよりうまいからtriscuit」「材料3つだからtriscuit」の2説が真っ向対立しております。

 語源をご存知のかたがいらっしゃったら、ぜひ教えてくださいませ。

医者が米国で妊婦になった【4】 初回診察+初回エコーの巻

 いよいよきました8週! はじめての妊婦健診です。

今までは体調を崩すと自分の勤務先に受診していたので、はじめての病院で知らないお医者さんにかかること自体がけっこう久しぶり。ましてや初体験の妊婦健診。めっちゃ緊張します。

 

受付にたどりつく前からあわわわ

 ひとりじゃ不安なのでダンナについてきてもらって、いざ病院へ。

事前にもらった書類に書いてあった建物に向かうと、…あれ? なんか想像してた雰囲気と違う。

 

 日本の病院の外来だと、たいてい1・2階にあって、だだっ広い待合室を取り囲むように外来ブースのドアが並んでる、というスタイルが多いかと思います。

 でも今日来たここは、オフィスビルの一角のような狭い廊下に静まった雰囲気。しかも5階。道まちがえた?ん?

 

 指定された部屋のドアを開けると、ちっちゃな受付が。おお、ここで合ってたんだ。ひとまず第一関門クリアです(当方、夫婦そろって方向オンチでございます)。

手続きをすませて、順番が来るまで待ちます。周囲はお腹の大きい人たちばかり。うわーお、ほんとに産科にきちゃった。

 

順番きた、ドキドキ

 順番が来て中に呼ばれると、まずはナースと対面。事前に記入しておいた問診票をみながら、膨大なチェックリストを埋めていく感じでいろいろと追加で聞かれて、血圧と体重を測って、ふたたび待合室へ。

 

 次はいよいよ、ドクター。ほがらかな感じの、小柄な女医さんでした。

今まで大病もせずふだんから飲んでる薬もないフツーの妊婦ですが、妊娠前から子宮奇形があることが分かっていたので、あっけなくハイリスク妊婦扱いに。

 

 米国では通常、妊娠初期と中期に1回ずつしかエコーをしないことが多いそうですが、約4週ごとに定期エコーを受けることになりました。たいてい問題ないんだけどね、と前置きをされつつも、”high risk doctors”との面談もセッティング。なにやら大げさなことになりましたが、結果として日本とそう変わらない健診環境になるのでこれはこれで大歓迎です。

 

 こちらではエコーは産科の医師ではなく、放射線部の技師さんがやることが多いようです(日本のCTやMRIと同じように、医師がオーダーする→検査室に行って検査を受ける、という流れ)。患者が放射線部に電話して検査日を決めるシステムのようで、「この番号に電話して予約とってね」と言われました。電話ニガテ…

 

 診察と頸がん検診のあと、先生は”おめでとう!”と言ってくれたけれど、まだ正常妊娠かどうか分からないのであいまいな笑顔を返せたのみでした。

 

 というわけで、正常妊娠かどうかの判定は、翌日に予約がとれたエコーまで持ちこされたのでした。いやーん。

 

いざいざ! 初回エコー

 翌日、エコーを受けにふたたび病院へ。前日とは違い、放射線部に向かいます。

日本だと技師さんの資格が異なるので、レントゲン・CT・MRIは放射線部へ、エコー・心電図は生理検査部で扱うことが多いと思いますが、こちらでは画像検査は一括して放射線部が扱うようです。

 

 パンパンの膀胱をかかえて、経腹エコー。見えたぁぁああああ! ちゃんと子宮内にいました、なんか丸いのが。心拍もあります。これでやっと正常妊娠の確認ができました。妊反陽性から1ヶ月以上、長かったなぁ。よかったよかった。

 

 排尿後、経膣エコーも済ませて、エコー写真をもらって、正式にプレパパ&プレママになれました。エコー写真をみて「うわぁ可愛い♡」となるかと思いきや、まだ楕円形のかたまりにしか見えない段階では、実感はわきませんでした。みんなそんなものなのかしら。

 

請求書はあとから送るからね(*´ω`*)

 日本だと、外来受診や外来検査のあとは会計に行って、お支払いをすませて帰るので、その感覚で受付のひとに「あのー、お支払いは?」と聞いてみたところ・・・

 

「オゥ、請求書はあとからbig billが郵送されるのよ、今日はこのまま帰ってOK!」とのこと。ビッグな請求書がどれくらいビッグなのかハラハラしますね(;・∀・)

 

 割と手厚い保険には入っているものの、ハイリスク妊婦なので通常よりさらにお高くなる見込みです。保険はどこまでカバーしてくれるかな? バッサリ切られたりしないかな? と心配しつつ、診察代を踏み倒したかのような罪悪感を抱きつつ、1セントも払わず病院を後にしたのでした。

医者が米国で妊婦になった【3】 祖国を離れて食べづわり

来た来た、食べづわり

 妊娠反応は陽性になったものの、体調も気分もいつもと変わりないなぁと思っていたら、きましたきました、つわりが。

 

 妊娠5週ごろから、朝起きたらウプウプした感じがあって、ちょっと食べるとおちついて、時間がたつとまたウプウプ。ははぁ、これが話に聞く食べづわりというやつか、いよいよ妊婦っぽくなってきた!

 

 とはいえ、期間限定のことなのでお気楽に構えています。胃腸カゼの回復期と同じく、食べたいときに食べられるものを小分けに食べるしかないですね。

 

食べづわりの知識は素人レベル(^_^;)

 薬や手術というより養生的なアプローチでつきあっていく心身のトラブルは、医学部ではあまり習いません(そこまで手が回らないうちに6年たってしまいます)。つわりもそのひとつで、サラッと教わるのみです。

 

 つわりがとてもひどくなると重症妊娠悪阻 hyperemesis gravidarumといって入院治療が要ることもあるし(全妊娠の2%弱に起こると言われています)、双子以上の妊娠や異常妊娠のひとつの胞状奇胎だとつわりが重くなる傾向があるとか、そういうことは習いますし、対処も学びます。

 が、病院に行くほどのことじゃない(≒ 大多数の)つわりについては完全に素人、なーんにも知りません。妊婦本やネットから情報収集して概略をつかみ、気になるところは医学論文を読んで補完する付け焼き刃での対処となりました。

 

 以降は、

1)「つわりの科学」…科学的な事実、

2)「つわりの個人的体験談」…わたしの場合

 の2部だて+脱線 でお送りいたします。

 

つわりの科学

 医療情報を読んで解釈し、実際の患者さんに応用するのは医者の大事な仕事のひとつです。

世界中でみんなが研究した成果が毎日大量に発表されている中から取捨選択して情報をつかみ、「使える」かどうか吟味するトレーニングを受けててよかったなぁ、と感謝しつつ、ウプウプしつつ、ちょこっと調べてみました。

 

 米国の有名な病院「メイヨークリニック」が出している、患者さん向けの簡単な情報↓

Nausea during pregnancy: A good thing? - Mayo Clinic

によると、要点は以下のとおり。

・つわりが起こる仕組みは不明だけど、妊娠したときに作られるホルモンhCGが関与している

・危険なものを避け、摂るべきものを食べるように誘導しているのかも

・つわり→ あまり動けなくなる→ 強制的に安静→ 胎児の発育に有利かも

 

 妊娠検査が手軽にできない時代は妊娠に気づくのが遅れて有害なものを食べちゃうことも多かったでしょうから、よくできた体の仕組みなのかもしれないけれど、何も吐くまでしなくても、ねぇ?

 

 もう少し専門的に、いろんな論文をあつめて評価して「まとめサイト」的な論文を出しているコクランレビューによると、

Interventions for nausea and vomiting in early pregnancy. - PubMed - NCBI

・つわりに対していろんな研究がされているが、食生活について比べた研究は見つからなかった(ガーン…)

・ツボ刺激に関する情報は少なく、効果が証明できた研究はなかった

・ショウガについては効く・効かないで意見が分かれている

・ビタミンB6やその他の吐き気止めが効くとする研究はほとんどない

・つまり、つわりに対して「こうするといいよ!」と自信をもってオススメできる治療法は現時点では、ない。

 

…というなんとも救いのないまとめなのでした。

「研究がない/効果が証明できなかった」すなわち「治療法がない/なんにも効かない」ではないけれど、なにかひとつくらいはバシッと効くオススメ治療があるとよかったなぁ。

 

ちょっと脱線…「養生」って研究/証明しにくい

 補足をしておくと、薬の研究に比べて養生の研究はやりにくいので、論文になりにくいと言われています。

 

 たとえば、つわりのときは少量ずつ何度にも分けて食べるのが良いとされていますが、これを研究で証明しようとすると、

1)つわりのある妊婦さんを集めてくる

2)少量ずつ何度にも分けて食べるグループと、1日3食のグループに振り分ける(本人の希望は無視)

3)上記の食べかたを守らせる

4)つわりのひどさを何らかの方法で点数化して記録させる

5)少量グループと3食グループでつわりの点数を比べて、統計的に分析する

 

 といった方法があるのですが、とてもめんどくさい。

だいたい、「少量ずつ何度にも分けるといいよ」と言われているのに、わざわざこの研究に参加したい妊婦さんはいるのか? 

1日3食のグループに振り分けられたとして、食べれないものは食べれない(指定された食べかたが守れない)。 

 などなど、この研究がうまくいかなさそうなのは目に見えています。

これが、上記コクランまとめ論文の「食生活についての研究は見つからなかった」理由のひとつだと思います。

 

 さて、こういう場合、患者さんにどういうアドバイスをするかは医者によってスタンスが異なります。証明された方法がない中、医者として何かを勧めるのを躊躇する人もいます。私自身は「あまり害がなさそうな方法なら、いろんなことをじゃんじゃん試してみたらいい」という立場をとっています。

 

 さらに脱線すると、重症患者さんの家族には「お参りやお守りは、効くと思ったら効くことがありますから、どうぞやってください、私たちも祈りながら薬を使ってますよ。でも高い壺とか変な水には手を出さないでね(笑)」と言うこともしばしば。何か自分でできる対処をした、という事実そのものが患者本人や家族を救うこともあると思っています。

 

つわりの個人的経験: 日々是実験

 そろそろ本題に戻ります。

つわりの個人的経験ですが、ひとことで言うと日々実験でした。

何が気持ち悪さの引き金になっていそうか考えて、避けられるものは避けて、避けられないものは軽くなるよう事前の対策を打つ。これの繰り返しで、だいぶ楽になった気がします。

 

 前述のツボ刺激やショウガは、試してみたけど効いた感じがしなかったので中止。

朝起きぬけの気持ち悪さに対しては、枕元にお茶とおやつを用意して起きた瞬間にもぐもぐ。

調理せずすぐ食べられるものをストック(みかん、バナナ、スナック類)。いちばんひどいときは、常になにかモソモソ食べていた気がします。

 

 車酔いがひどくなったので、乗っている間はガムを噛む。

食洗機の洗剤の匂いがダメになったので、ダンナに食器洗いを代わってもらう(感謝!)。

 

 お米の炊ける匂いや調理中の湯気は平気だったので、通常運転。

揚げ物が苦手になる人が多いようですが、私はむしろ油がほしくなったので問題なし*1

酸っぱいものがほしくなるかと思いきや、そんなことは全然なし(米国妊婦はピクルスを愛する人が多いようです笑)。

 

 こんな感じで、条件→結果、の組みあわせをいろいろ実験している気分で過ごしていました。

 

コロコロ変わるマイブーム食材に翻弄される: 妾を操るのは誰じゃ!?

 「ばっかり食べ」は良くない、いろいろバランスよく食べなきゃ、とは思っていてもそうはいかないこの時期。

 

 自分の意思というより、何かに操られているかのようでした。

 

 ある日とつぜんバナナが食べたくなって、3週間くらい食べ続けたり。

日本のみかんに近い柑橘類を見つけて、ひとりで1箱/週 食べてみたり。

フライドポテトが恋しくなって、冷凍ポテトをフライパンでひたすら温めていたり。

ポン酢にフォーリンラブしてすべてのおかずにかけ続け、ダンナにあきれられたり。

キュウリ&トマトにハマってまとめ買いしたその直後にブームが去ったり。

先週は毎日食べてたヨーグルトが、今週は見るのも嫌だったり。

 

 こうやって書き連ねてみると、ひどいですね(;・∀・)

 エイリアンに心身を乗っ取られたらこんな感じなのかしらん。

 

 日本食材のブームが来ると大変で、

納豆を求めて三千里→ 韓国スーパーの冷凍コーナーで発見、

のりたまふりかけを探して右往左往→ おいしいのが見つからなくて断念、

ガトーショコラが食べたい→ 韓国メーカーのチョコパイで代替、

ラーメンが食べたい→ 日本の何倍も値が張るインスタント麺を買うはめに(明星食品の中華三昧がおいしかった!!)

…などなど、カネも手間ひまもかかるのでした。つきあってくれたダンナに感謝。

 

 また、味覚自体もズレたようで、塩味や辛味に鈍感になったようです。

ソムリエとかシェフや杜氏じゃなくてよかった(;・∀・)

 

 妊婦雑誌やブログを見る限り、他の妊婦さんも似たような経験をされているようです。

 何にハマるかは人それぞれですが、マイブームは来るみたいです。

 

 ダンナ様がたをはじめ、周囲の方々におかれましては、暖かく見守っていただけたら幸いでございます。いつかつわりは去りますので(;・∀・)

 そんで、ハマった時期に買う→ 飽きて余った食材を消費していただけたら、望外の喜びであります。

*1:こちらで人気のクリーム系パスタ Fettuccine alfredoは、食欲が落ちた妊娠中の妻のためにイタリアのシェフ作ったメニューだそうですが、チーズとバターがたっぷりのカロリー満載、めちゃコッテリ系です。こんなもん食えるか!という妊婦さんもいらっしゃるでしょうが、これこれこういうのが食べたいのよねーという人も。お察しの通り、わたくしは後者でした笑

台所で立ち食い 米国でしゃぶしゃぶの巻

 こないだ「薄切り肉が手に入らぬ…恋しい!→ 牛角でワクワク!」という記事をアップしたばかりで大変に恐縮ですが、薄切り肉が入手でき、立ち食いで楽しむしゃぶしゃぶという新ジャンルを開拓いたしましたのでご報告します。

アメリカの牛角に行った → いろんな意味で楽しかったよ!(・∀・) - あみ&たた バタバタ米国日記

 

Shabu Shabu用のお肉を発見 (TдT)

 行きつけのスーパーのお肉コーナーをぷらぷら歩いていたところ、「Beef Ribeye Shabu Shabu」を見つけました(・∀・)

 

 若干 分厚いような気もするけど、まぎれもない牛肉の薄切りです(TωT) 会いたかったよ。
こちらで見かける牛肉の中では、サシも入っておいしそう。
かたまり肉の倍くらいの値段がするものの、それでも1パック12ドル。えーいと奮発して、2パック手に入れました。

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ミツカン様に敬礼ッ

 韓国スーパーでミツカンのごましゃぶだれも見つけて狂喜乱舞。

ポン酢は常にストックしてあるので、タレはこれでOKです。

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 しょうゆやタレは非日本メーカーからあれこれ売られていますが、ハズレなこともしばしば。

ミツカン様とキッコーマン様には感謝あめあられです。輸出してくださり、ありがとうございますm(__)m

 

具材はアイディア勝負

 次の課題は肉以外の具材なわけですが、

・白菜・・・ 今週は手に入らず → ロメインレタスで代用

・大根・・・     〃    → 省略

・えのき・・・    〃    → 省略

・しいたけ・・・ 10円玉サイズの乾燥「shiitake mushroom」を使用

・たまねぎ・・・ sweet onionが日本のたまねぎに最も近いので、それを使用

・水菜・三つ葉 ・・・売ってない → イタリアンパセリで代用

・もち・・・ お正月の残りの貴重な「サトウの切り餅」を使用

 

 葉野菜が壊滅的なことになっていますが、気にしない気にしない。

 

だしは、乾燥シイタケに加え、日本からかついできた貴重なだしパックを使用。

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で、どうやって食べるか。

 卓上IHやカセットコンロなんてファンシーなものはございません。

しゃぶしゃぶに向きそうな、浅くて広口の鍋もございません。

普通のシチュー鍋にだしをはって、台所で立ち食いすることになりました。f:id:amiko81:20150316100331j:plain

いざ、しゃぶしゃぶ開始!

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 で、世にも美しいこのお肉は、持ちあげてみると…分厚い! 相当どっしりしてます。

箸につままれてもキリッと形を保っています。大丈夫かなぁ…

 

 → これはこれで歯ごたえがあっておいしい(*´ω`*)

 ときどき厚みが違うのが混ざってるのがご愛嬌ですが、食感の違いを楽しめて◎でした。

 

 気になるその他の具材は…ロメインレタスは◎、イタリアンパセリは△でした。

パセリは、口に入れた瞬間はよかったけれど、ごまだれやポン酢の味が薄くなってくるとともに「オ〜レ〜はパセリ♪」と自己主張をはじめ、ミスマッチでした、残念。

 

 〆に入れたサトウの切り餅は、お米の香りがふんわりただよって最高♡

 

 というわけで、お行儀完全無視の台所立ち食いしゃぶしゃぶは大正解。リピ決定です。
スーパーが取扱いをやめないよう、せっせと買いささえます。

 

 あーーー、お豆腐が冷蔵庫に入ってたのに、入れ忘れてた(^_^;)